顕微鏡の進化と分類
昆虫を調べていて時折困るのが,毛や微毛の有無である.
外見が似ている種類を調べる場合,特定の場所の毛の有無でグループが分かれたり,種類が異なったりする.双翅目の場合は,微毛とか微粉と呼ばれる非常に細かい毛が区別点となったりもする.
透過式顕微鏡は,40年ぐらい前の透過式顕微鏡と比べても,通常の明視野観察等では殆ど進化していない.
しかし,立体物を観察する実体顕微鏡は,実用的な観察倍率がかなり高くなっている.
昔の顕微鏡も,接眼レンズや補助対物レンズを組み合わせれば,けっこう倍率は上がったが,明るさや観察距離・収差の問題であまり実用的でなかった.
最近の実体顕微鏡では,標準の1倍対物レンズを使用しても,80~100倍程度まで観察出来る顕微鏡が多くなっており,昔は見づらかった毛などが見易くなっていると思える.
また,アポクロマートなどを使用している高級機では,ハロゲン照明の普及などもあって,150~200倍でも十分明るく広視野で観察出来ようになっている.
したがって,逆に40倍程度におさえて,見えるかどうか判断するようにしているが,比較標本がないと手に負えない分類群もある.
最近書かれた論文でも,執筆者が古い顕微鏡を愛用している場合もあり,記述されている内容と実際に見た感覚が合わないこともある.
余談であるが,優秀な若手分類学者のサイトで「垂直視」が出来る国産顕微鏡の話題が出ていたが,筆者の会社では20年位前からWild社の垂直視が可能な実体顕微鏡を使用していた.やはり,古参のメーカーはPRが下手である.
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コメント
「垂直視」って断虫亭?
投稿: Sekizuka | 2007年10月 3日 (水) 07時23分
ご指摘の通りです.
投稿: 市毛 | 2007年10月 3日 (水) 18時07分
回答サンクス。
新規巡回先候補が見つかるかなぁ~と思ったんだが、、、断虫亭は既に巡回中(苦笑)
投稿: Sekizuka | 2007年10月 6日 (土) 22時43分