標本箱の値上げと昆虫産業の将来
しばらくぶりの更新です。
先日、標本箱を補充するべく六本脚のHPを見たところ、足柄工芸製の標本箱が軒並み値上がりしていた。
わたしが愛用している桐箱大も、30000円/10箱と7000円程度上がっており顔が青くなってしまった。
愛用の桐箱は、足柄工芸・タツミ製作所や志賀昆虫のインロー桐箱の37x27cmというサイズであり、頻繁に調べる箱は専用の標本ダンスを使用して整理している。
今回の値上げの詳細は判らないが、足柄工芸は70歳過ぎのかたが一人で標本箱を作っていると聞いている。この方が寝込んだりしたら、標本箱の入手が困難になるのは目に見えている。
中国製で2000円前後の安い桐箱が木曜社やむし社で売られているが、40x30cmとサイズが異なっている。ドイツ箱は規格が安定しているが、割高なためと7畳の部屋には大きすぎて現実的ではない。
色々考えるうちに、とある学芸員との会話を思い出した。彼が言うには、昆虫愛好者が減ると日本の昆虫産業が壊滅し用品関連の入手が困難になるというのである。
生き虫以外の愛好者が急速に減っているのは判っていたが、それによって自分の首が絞まるとは考えていなかった。
需要が見込めないのでは、後継者が育たないので、会社は一代限りとなるであろう。歴史のある志賀昆虫とて、危ないのではないだろうか?
そうすると、全て輸入に頼ることになるが、個人輸入が困難な標本箱などは、業者がいくらでも高い価格に設定することが可能になってしまう。各業者横並びで高い価格を設定されたらどうにもならない。
甲虫などと異なり、基本的に針刺しの必要な双翅目は、針台や箱代が非常にかさむ。100本180円や250円と安い志賀のステンレス針を愛用しているが、これが外国製だと100本600円程度と3倍もかかってしい、年間2000~3000本は使用しているので12000円程度上昇する計算である。
昆虫産業が壊滅しないように、私たちは何が出来るか考える必要があるようである。
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コメント
はじめまして。時々覗かせてもらっています。
本当に書かれている通りだと思います。私もアマチュアなので、箱には困っているところです。ただ、私は中古のインローを多数譲ってもらったので、それを使用しています。
今後は地方の博物館や大学等と連携し、箱や場所の提供等も探っていければ良いと思っています。
投稿: KUWAKIRA | 2006年11月 6日 (月) 10時24分
初めまして、私は箱義桐箱店のクワダと申します。本社は 東京の東上野にございます。
標本箱の製造メーカーの将来性の事で、危惧されていますが、手前味噌ではありますが、弊社も
顧客のニーズに合わせた対応で、一点から 別寸も生産しております。また、塗装・及び 内装も手がけております。桐材以外にも、マホガ二などの 高級材での生産もしております。一度、お見積り等を お願いできればと存じます。
投稿: ㈲箱義桐箱店 | 2010年6月24日 (木) 18時46分